DG細胞

【登場作品】機動武闘伝Gガンダム


 デビルガンダムを構成するディマリウム系の特殊な金属材質。正式名称はアルティメット細胞という。

 地球再生のための三大理論「自己増殖」「自己再生」「自己進化」の能力により、金属でありながら生物のようなふるまいを見せる。機体の自己修復や進化のみならず、生物と融合することもでき、寄生した生物の生命力、筋力を強化し、新しい生命へと変化させる。

 その不死身の能力は、後年のSF作品(とくにスーパーロボット大戦シリーズ)に大きく影響を与え、ズフィルード・クリスタルマシンセルラズムナニウムと、同質の素材が多く設定されることとなった。
 
 荒廃した地球環境を再生させる目的でライゾウ・カッシュ博士とキョウジ・カッシュによって開発されたが、その後、ミカムラ博士の研究結果により危険と判断され、アルティメット細胞を用いた機体であるアルティメットガンダムをデビルガンダムと改称し、その機体名から「DG細胞」と命名された。

 感染した生物は、皮膚などの表面に薄い金属の膜が現れる。脳にまでDG細胞が浸蝕することにより、脳の働きをデビルガンダムに乗っ取られてしまい、デビルガンダムの雑兵となってしまう。

 初期感染ならば、医療的な処置によってDG細胞を除去することが可能である。またシャッフルの紋章や、東方不敗のような強靭な精神力をもつ人物ならば、感染を防ぐことができる。東方不敗はその精神力をもって、DG細胞を完全にコントロールすることに成功している。

 DG細胞の能力は実に多様であり、シュバルツ・ブルーダーの遺体を素体としてキョウジのアンドロイドを構成した。また、病死したジェントル・チャップマンを復活させたほか、数十年前に遺棄、埋葬されていたにも関わらず、ファラオガンダムIV世をパイロットのダハールともども蘇らせた。シュバルツは、破損部分に電気ショックで刺激を与えることでDG細胞の自己修復能力を促進させて傷を治した。

 さらに未来世界を描いた作品『∀ガンダム』には過去にナノマシンに人類文明の排除を促すウィルスを流布させるテロが起こっており、「DG細胞災害」という名称で記録されているという設定がある。

 『∀ガンダム』の設定では、ナノマシン研究は先述の「DG細胞災害」の影響から、事件後全ての研究が凍結され、長い間危険な研究として封印されていた事が記されている。さらに後に研究が進められ、当時の大戦後のムーンレィスにおいてナノマシン研究が再開される。これには本来の目的であった汚染が進んだ地球環境の再生など、そのほか様々な平和利用に用いられた様子が語られている。これらのナノマシンには、目的用途を越えた進化・再生・増殖を食い止めるアポトーシスのプログラムが組み込まれたという。

 
 MFは、ガンダムファイトを勝ち抜くための機動兵器であり、一年に及ぶ期間を闘い抜き、最終的に勝利していなければならない。その戦闘途上で壊滅的な損壊を被ること無く、敵の機体を粉砕しなければならない。カッシュ博士は、自己修復機能を持ち、基本的にメンテナンスを必要としないMFの開発を行おうとしてた。デビルガンダムは本来はアルティメットガンダムと呼ばれていた。

 機体のコンディションは、戦闘による損壊や経時変化が悪化させていくので、戦闘毎に新規の機体を投入できればいい。しかし、それはガンダムファイトのレギュレーションで制限されているうえに現実的ではない。MFに必要な予算は平均的なMSの数百倍とも言われている。さらに、搭乗者とメンテナンス要員も制限されているため、大規模なオーバーホールを頻繁に行うことも不可能に近い。一機のMFを常に戦闘可能の状態で維持できれば、それは理想的なMFを創り出すのと同じことである。
 最強のMFとは、メンテナンスフリーで、なおかつコンディションが安定し、アップデートが容易な機体だということになる。

 デビルガンダムの特徴である三大理論の自己修復、自己増殖、自己進化は、この頃に確立された概念だと言われている。
 自己修復とは、さながらDNAのように、機体の各部位がどこの部品、あるいは構成要素であるかを「自覚」しており、金属粒子のレベルで損壊した場合などに、本来の部位に復帰しようとする機能のことである。これは、マイクロマシンニング技術の応用らしく、隣接する部位同士が隣接する部位を認識しており、その状態に復帰させようとするものなのである。

 分子単位の「機械による手作業」の技術はすでに確立されており、あとは金属粒子そのものにそのプログラムを実行させるだけだった。
 自己増殖のシステムは、その次の段階で確立された。修復の機能を改変できれば、組成の違う物質の配列を組み替え、別の物質に変化させることもできる。つまり、黒炭とダイヤモンドのように、分子結合の構成自体を変化させ、まったく別の物質としてしまうのだ。自己増殖は、このように分子を選択し再結合させることで行われている。
 デビルガンダムは、無機物も有機物も無差別に取り込み、自らのエネルギーや構造材とする。また、自らを複製し多様なバリエーションさえ生み出すことができる。
 デビルガンダムの最小構造単位は、まさに細胞と呼ぶにふさわしく、その現れようはあまりにも生物的であり、果たして「マシン」と呼称してよいものかどうかさえ躊躇させる。
いわゆる「魂」や「自我」といった概念を考慮しなければ、まさに生命体であると言ってもいいだろう。
 
 極小構造で考えた場合、デビルガンダムとそれを構成するDG細胞は、まさしく生物以外の何物でもない。成長や進化、さらに多様性の模索を含む複製行為は、生物の定義の根幹をなす概念なのである。ことに、個々が独立した生物でありながら、集合体を構成すると言う機構は、ある種の魚介類や脳細胞の構造などとも比較できるだろう。
 さらにデビルガンダムは、環境を認識することで自律しており、自律と環境への適応は、進化の基本的条件でもある。その機能によって、コロニーから脱出して地球へ降下しても、その機体を維持し、復活を遂げることができたのだ。デビルガンダムは一度もメンテナンスを受けてはいないし、また、デビルガンダムの機能は「補給」を必要としない。デビルガンダムは、有機物も無差別に取り込み自らの機体構造物やエネルギーとできるのだから、いわゆる機械的な整備は無意味なのだ。つまり、デビルガンダムの行動を規制するのは、物質的なものではないということなのである。

  • 最終更新:2012-07-30 01:31:58

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