ダマスカス
かつて生産されていた木目状の模様を持つ鋼。
強靭な刀剣の素材として知られるが、19世紀に生産が途絶えたため製法がはっきり分かっていない。この鋼材の起源はインド発祥のウーツ鋼であるが、それがシリアのダマスカスで刀剣等に加工されていた。中世の十字軍遠征で兵士が西洋に持ち帰り、ダマスカス刀あるいはダマスカス鋼として西欧世界に知られるようになった。
本来のダマスカス鋼による刀剣などの製品は10世紀頃から18世紀頃まで現在のシリアにあたる地域で製造されていたが、現在はインドでの鋼材の製造法など、製造技術が失われている。
ドイツのドレスデン工科大学のピーター・ポーフラー博士を中心とする研究グループによる調査では、ダマスカス鋼からカーボンナノチューブ構造が発見されている。
現在では、インドの一部地域に由来する鉄鉱石を原料とするウーツ鋼とも呼ばれる高炭素鋼材と、異種の鋼材を積層鍛造してウーツ鋼を鍛造したときに現れるものとよく似た縞模様を表面に浮かび上がらせた鋼材の異なる二種類にダマスカスの名が用いられている。
実在した素材ではあるが、再現不可能なロストテクノロジーという浪漫から、フィクションでは頻繁に用いられている。
空想作品内でのダマスカス
- 最終更新:2012-07-04 19:26:32