イル・ドークト装甲

【登場作品】New Space Order


 「イル・ドークト(冷力)装甲」。核の直撃にも耐えるとされる。神聖宗教国の航宙艦、神聖主神力船の表皮装甲であり、推進組織。神聖宗教国の船は、珪素という無機物質をベースとする「無機生命体」である。

 装甲表皮はジルコニアやシリコン・ナイトライドといった無機金属が積層生成された複合装甲。全長1.4Kmの生命船をカバーする表皮は、それ自体継ぎ目のないほぼ1枚板となっており、これだけのサイズの物は、どの国家でも製造は不可能なため、現状のところ神聖宗教国のみの技術となっている。

 さらにこの硬い表皮の間には、珪素をベースとしたシリカ・ケトンによる軟質組織が挟まっている。この組織はE.S.P.で重合組成を変更することで、操者の意思でダンパーオイルにしたり、耐熱シリコーンにしたりと、状況に応じて可変させることが可能で、ジルコニアやシリコン・ナイトライドだけでは硬すぎて脆い欠点をカバーする構造となっている。
 一見なめらかに見えるイル・ドークト装甲表面は、平滑ではなくごつごつしている。所々「眼」のような器官が見られ、これがキルリアンビーム発振器官となっている。

 これだけでも優れた複合装甲となるが、これに加え、ジルコニアやシリコン・ナイトライドの分子間結合強度(=ディアスタシオン構成力)をE.S.P.で高めることで強化している。
 この構造から、操者のE.S.P.による構造保持限界が存在する耐重力特性以外ならば、耐爆発、耐ショック、耐閃光、耐ビーム、耐電、耐薬品、耐B.C.といったほとんど全ての状況に、この装甲だけで対抗が可能であり、そのためU.G.、軍事帝国のようなエネルギー障壁を持たない。(そもそも必要がない)

 また、生命船がキロメートルサイズという大きさで、かつ素材が鉱石という固い物質ということもあって非常に脆い。普通であれば生命船が動いただけでも折れてしまうので、これを防ぐためイル・ドークト装甲が瓦解しないように保護する役割も兼ねている。

 さらに、イル・ドークト装甲はこれ自体が推進器でもある。装甲がディアスタシオン粒子(=三次元空間)を直接「流し」て推進する、極く低レベルなディアスタシオン粒子動推進、すなわちD.D.D.(ダイレクト・ディアスタシオン・ドライブ)である。
推進時にはE.S.P.で励起されたジルコニアがほんのりと発光し、さらに励起されたディアスタシオン粒子が光の尾となって船の後ろに流れるのが特徴である。

 D.D.D.推進は推進器表面積と船の重量比によって推進力が決定される。神聖主神力船は外装のほぼ全てが推進力発生面ということもあり、全国家で最も重量のある船ではあるが、それに反して全国家で最も速度の出る船でもある。

 イル・ドークト装甲は、技術的に非常に優れた技術である反面、E.S.P.の依存度が過剰ともいえるほど高い。この優れた機能を維持するため、常時E.S.P.を大量に消費する点と、その供給源を精神的・身体的に不安定な操者に頼り切っているといるのが大きな欠点となっている。

 さらに追い討ちをかけるように聖典解読が不完全なため、その再現率は低く、かつ生成が不完全で、理論的に最強とされる機能は有しながらも実際の神聖主神力船は、装甲厚が薄いだけでなく、ところどころ欠如している部分もあり、高度な技術の割には強度の少ない装甲となっている。

  • 最終更新:2012-10-26 11:42:45

このWIKIを編集するにはパスワード入力が必要です

認証パスワード